止利仏師の里 天生


飛騨市河合町にこんな看板があった。

 止利仏師というのは鞍作鳥(くらつくりのとり)とも呼ばれ、法隆寺の釈迦三尊像や飛鳥寺の釈迦如来像(通称:飛鳥大仏)の作者とされる飛鳥時代の仏師。ここ河合町には彼の生誕伝説が残っていて、天生峠には止利仏師の屋敷跡といわれる場所もある。

 昔々のことじゃ。「しのぶ」というそれはそれは醜い村娘が住んでおった。あまりの醜さに嫁の貰い手がなかったそうな。ある時しのぶが、月の光が映った川の水をすくって飲みほすと、あら不思議。妊娠してしまったそうな。生まれた子供は赤毛でギョロ眼、鼻がひどく出っ張っておった。これは鳥に似ているということで、その子供は「鳥」と呼ばれるようになったということじゃ。

 というのが伝説のあらすじ。月の光が川面に映ったので「月ヶ瀬」、天から子供を授かったので「天生」という、このあたりの地名の由来にもなっている。
 鳥に似ていたという止利仏師の容貌も興味深い。止利仏師の祖父は、日本に仏教を持ち込んだとされる渡来人・司馬達等といわれているので、外国人風の顔だったのかもしれない。
 これほどの山の中に、こんな伝説が残っているとは。いろいろ想像するのも楽しい。心はすでに飛鳥時代である。


天生地区のとなり月ヶ瀬地区には「飛騨匠」碑がある。
止利仏師は「飛騨匠の祖」と考えられている。


石碑の横には案内板もあったのだがご覧の有様。
文章もやたら古めかしい。いったいいつ建てられたんだろうか。


これは余部の里(あまりべのさと)。
今も残る古代の住居・・・というわけではなく飛鳥時代の住居を再現したキャンプ場だったりする。
新しいのか古いのかよく分からない施設だ。

このあたりには他にも「匠童夢」「レジェンドあすか」など、止利仏師伝説を意識したらしい施設があった。
静かで良い所ですよ。山奥だけど。

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