ジョージ・オーウェルの小説「1984年」。「動物農場」と並ぶオーウェルの代表作で、以前から興味はあったのですが新訳版が出たのを機に読んでみました。
作品中の1984年は核戦争後。テレスクリーンという装置で全ての行動が監視される社会。思想警察に捕えられた主人公は、激しい拷問の末、自分の信念を徹底的に打ち砕かれてしまう・・・というのがストーリー。
一党独裁、歴史の改竄、言語の改変、自由恋愛の禁止といった全体主義の恐怖が描かれている。巻末に「附録」として載せられている「ニュースピークの諸原理」の存在もあって、いろいろと謎を感じさせる小説でした。一種のSF小説ですが、ここで描かれている未来予想図はかなり暗め。
この作品が書かれたのは1948年。オーウェルによる共産主義(スターリン時代のソビエト)への批判と言える作品だけど、寓意性のあるストーリーなので現代の日本にも当てはまる部分がありそうだ。
例えば、「1984年」の人々が強いられている「二重思考」は日本で言う「本音と建前」みたいなものだし、歴史が改竄され続けてすっかり忘れっぽくなった「1984年」の国民性も、マスコミに踊らされるばかりの日本人とダブる。言語が単純化されるうちに思考力が鈍ってきた姿すら似ているような気がしました。無理矢理なこじつけかもしれないけど。
今年になって新訳版が登場したって事は村上春樹効果なんですかね。村上春樹の小説を読んだ事がないので、どう言った関連があるのか分かりませんが。
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