最近、たまたまヘミングウェイつながりの小説を2つ読んだ。
まずは「諜報指揮官ヘミングウェイ」。
作者はダン・シモンズ。壮大なSF世界「ハイペリオン」をはじめ、保険調査員が大活躍する「ダーウィンの剃刀」、極限状態の恐怖「ザ・テラー」と、彼の描く世界はまさに変幻自在。
今作はキューバ時代のヘミングウェイをめぐるスパイ小説と言っていいだろう。ヘミングウェイの小説を読んだ事がなくても、彼がどんな人間だったのか知らなくても楽しめる。劇中に出てくるヘミングウェイはやたらと強くて豪快、でも実は繊細といったイメージ。カリスマな人間として描かれている。
ヘミングウェイをはじめ、イアン・フレミング(007シリーズの作者)やマレーネ・ディートリッヒなど実在の人物が何人も登場し、数多く挿入されるエピソードにはホントかも?と思わされたりする。手に汗握るアクションシーンはさすがダン・シモンズといったところ。
お次はジョー・ホールドマンの「ヘミングウェイごっこ」。
ヘミングウェイの初期原稿がパリで盗まれたという実際の事件をもとにしたSF小説。
前半は贋作作りで後半は多次元宇宙もの。なんか唐突にSFな感じだけど、実際そうなのだ。なんだこりゃという感じ。パラレルワールドに次々と移ってゆくあたりがなかなか面白かった。
2つを読んでみて改めて思わされたのが、ヘミングウェイがいかにアメリカ人に愛されているかという事。死後50年近くたつというのに、今でもこうやって題材に取り上げられている。ヘミングウェイの作品もさることながら、彼の人間性に対する人気も未だ衰えないという事だろう。日本にはこんな作家がいるだろうか。
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